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まさに、理性との戦いだ。
それを知ってか知らずか、携帯を片手に上目使いで見上げてくる。
ダメだ……完全に。
視線を逸らし、頭の中に優の話を連呼させていく。
“新郎様からのスペシャルサービスだぞ”
“彼女、絶対泣くな”
“新婦様も協力する気で満々で”
“物だけ忘れんなよ”
今日の予定で頭をいっぱいにする。
「ごめんなさい」
電話を切った美佳が、声をかけてくるまで、気付かない程、集中していたらしい。
そのおかげで完全に元に戻った身体に安堵した。
「駿一、なんかね、……母が、『帰りにうちに寄るように』だって。断ったのに、どうしよう」
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