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「何それ、駿一、オッサンくさっ。今どき、故郷って……。しかも、故郷って言う程、遠くに来た感じじゃないし、ウサギがかけまわっているような野山もないじゃん」
ひとしきり笑った後に、言ったそれは、まさに、童謡のふるさとの唄の世界を想像していたんだろう。
だから、そう言ったのだろう。
「お前の頭の中は……。オレの地元、馬鹿にすんなよ」
「違う、バカにしてんのは、地元じゃなくて駿一」
信号で止まったのを、これ幸いと、ケラケラ笑う美佳の首に腕を回し、軽く締め上げる。
「ちょっ……ギブ、ギブ」
焦ってオレの腕をタップしてきた美佳に笑いが込み上げる。
何気ないこんなやり取りが出来る。触れる事が出来る。
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