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運ばれてきたバーボンを斉木は美味そうに飲んでいる。
そして、立花はドライマティーニを舐めながら、ポツリポツリと、父のことを語りだした。
父・浩太のアルバムの、最終ページに貼り付けられた封筒を見つけたところから始まり、
父が裏カジノの常連だったこと。
その道では、そこそこ名の知れたプレイヤーだったこと。
それがきっかけで、デスギャンブル運営委員会にスカウトされたこと。
そして、そのデスギャンブルに参加した日に、死亡したことなど、立花の推論も含めた全ての情報を、さらけ出した。
「なるほど、事情はわかった。
それで?
その顔を見れば聞くまでもないかもしれんが、一応、確認しておく。
お前はどうしたいんだ?」
残ったバーボンを飲み干すと、斉木は、立花の顔を覗き込むように見た。
「俺は…親父の仇を打ちます。」
立花は静かに、だがハッキリとそう言った。
「やっぱりか。
お前を見てきてそろそろ10年経つが、若い頃と少しも変わらんな。」
斉木は苦笑いしつつ、懐からシガーケースを取り出し、タバコに火をつけた。
「若い頃って、俺はまだ十分若いつもりですよ。」
立花も、そう苦笑で返す。
だが、斉木は笑いを封じ込め、真剣な眼差しでこう言った。
「そうだ。お前はまだ若い。三十そこらじゃ、世間では青二才と呼ばれる歳だ。
そんなお前が、百戦錬磨の親父さんさえやりこめた奴らを相手に、何が出来るというんだ?
いいように遊ばれて終わりだぞ。」
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