三章「潜入」

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元が倉庫なので、天井が高く、開放感がある。 フロア内は、スロットマシンをはじめとする、ゲーム機がたてるコンピューター音や、人々が賭けに興じる声など、様々な音に溢れていたが、 軽快に流れるジャズのメロディーが、BGMの役割を果たし相殺してくれているので、会話を続ける立花達には、耳障りさはなかった。 「ほんで?立花はんが亡くなりはって間なしに、息子の翔太君がこの店に現れたっちゅうことに、なんか意味でもあるんかいな?」 流石に西野は鋭い。着流しは伊達ではないようだ。 「そんな、特別に意味なんかないですよ。 ただ、親父がよく来てたっていうこの店に、俺も興味があったので、先輩を誘って遊びにきただけです。」 立花に目配せされた斉木は、無言で頷く。 「ほんまかいな。わしはまた、立花はんの仇でも討とうっちゅう気か思たわ。」 またしても、西野の揺さぶりにも似た発言。 だが今回は斉木も、立花も、その手は喰わなかった。 「仇討ちとは、穏やかじゃないな。立花の親父さんは、誰かに殺されたとでも言うのか?」 斉木が、そんな話は初耳だとばかりに、西野に聞いてみた。 「え?斉木はんも翔太君も、なんも知らんと来たんか? なんでも、立花はんはデスギャンブルに参加したさかい、亡くなりはったらしいで。」 立花が三日かけてたどり着いた真実が、西野の口からあっさり語られる。 それでも立花は何食わぬ顔で、 「へえー、そうなんですか? で、そのデスギャンブルって、何なのです?」 と、聞いてみた。
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