11032人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ
元が倉庫なので、天井が高く、開放感がある。
フロア内は、スロットマシンをはじめとする、ゲーム機がたてるコンピューター音や、人々が賭けに興じる声など、様々な音に溢れていたが、
軽快に流れるジャズのメロディーが、BGMの役割を果たし相殺してくれているので、会話を続ける立花達には、耳障りさはなかった。
「ほんで?立花はんが亡くなりはって間なしに、息子の翔太君がこの店に現れたっちゅうことに、なんか意味でもあるんかいな?」
流石に西野は鋭い。着流しは伊達ではないようだ。
「そんな、特別に意味なんかないですよ。
ただ、親父がよく来てたっていうこの店に、俺も興味があったので、先輩を誘って遊びにきただけです。」
立花に目配せされた斉木は、無言で頷く。
「ほんまかいな。わしはまた、立花はんの仇でも討とうっちゅう気か思たわ。」
またしても、西野の揺さぶりにも似た発言。
だが今回は斉木も、立花も、その手は喰わなかった。
「仇討ちとは、穏やかじゃないな。立花の親父さんは、誰かに殺されたとでも言うのか?」
斉木が、そんな話は初耳だとばかりに、西野に聞いてみた。
「え?斉木はんも翔太君も、なんも知らんと来たんか?
なんでも、立花はんはデスギャンブルに参加したさかい、亡くなりはったらしいで。」
立花が三日かけてたどり着いた真実が、西野の口からあっさり語られる。
それでも立花は何食わぬ顔で、
「へえー、そうなんですか?
で、そのデスギャンブルって、何なのです?」
と、聞いてみた。
最初のコメントを投稿しよう!