11032人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ
その部屋は、流石にVIPルームというだけあって、数々の調度品が飾られている。
絵画や陶磁器の類はもとより、天井には彩色タイルによるモザイク画、部屋の隅には背丈大の観葉植物など、品位を損なわない程度に様々な物が配置されていた。
その部屋の中央、やや壁よりの位置に、緑のプレイマットがひかれた、四角い小型のテーブルが置いてある。
そしてテーブルを挟んで、これまた瀟洒な造りの椅子が二脚、一方の椅子の少し後方に、同じ造りの椅子が三脚、セットされていた。
「では、皆様方はそちらにお掛けください。」
上田の指示で、立花、斉木、西野の三人は、やや後方の椅子に並んで座った。
上田は、テーブルを挟んで反対側に座る。
「では、これよりゲームを始めましょう。
皆様方はお一人ずつ、わたくしと対戦していただき、どなたかお一人でもわたくしに勝つことができましたなら、その時点で皆様方の勝利といたします。」
一対三の対決である。
にもかかわらず、上田の表情には自信からなのか、余裕からなのか、笑みが見て取れる。
「その前に確認しておきたい。
あんたが負ければ、あんたの持つ情報を全て、話してくれるんだな?」
斉木は長年の営業マンとしての習慣から、契約の反故を恐れて、上田から言質をとろうとした。
いざ勝った後で「そんな話は知らない」と、居直らせないためである。
「もちろんです、斉木様。
かなりの部分でご期待に添えるかと、思っておりますよ。
なにしろわたくしは、「デスギャンブル運営委員会」のメンバーでございますので。」
最初のコメントを投稿しよう!