三章「潜入」

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その部屋は、流石にVIPルームというだけあって、数々の調度品が飾られている。 絵画や陶磁器の類はもとより、天井には彩色タイルによるモザイク画、部屋の隅には背丈大の観葉植物など、品位を損なわない程度に様々な物が配置されていた。 その部屋の中央、やや壁よりの位置に、緑のプレイマットがひかれた、四角い小型のテーブルが置いてある。 そしてテーブルを挟んで、これまた瀟洒な造りの椅子が二脚、一方の椅子の少し後方に、同じ造りの椅子が三脚、セットされていた。 「では、皆様方はそちらにお掛けください。」 上田の指示で、立花、斉木、西野の三人は、やや後方の椅子に並んで座った。 上田は、テーブルを挟んで反対側に座る。 「では、これよりゲームを始めましょう。 皆様方はお一人ずつ、わたくしと対戦していただき、どなたかお一人でもわたくしに勝つことができましたなら、その時点で皆様方の勝利といたします。」 一対三の対決である。 にもかかわらず、上田の表情には自信からなのか、余裕からなのか、笑みが見て取れる。 「その前に確認しておきたい。 あんたが負ければ、あんたの持つ情報を全て、話してくれるんだな?」 斉木は長年の営業マンとしての習慣から、契約の反故を恐れて、上田から言質をとろうとした。 いざ勝った後で「そんな話は知らない」と、居直らせないためである。 「もちろんです、斉木様。 かなりの部分でご期待に添えるかと、思っておりますよ。 なにしろわたくしは、「デスギャンブル運営委員会」のメンバーでございますので。」
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