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「なぁ、俺……死ぬのか?」
真っ青な空。
真っ白な雲。
晃は病院のベッドの上に淋しく横たわっていた。
面会謝絶ということが、こんなにも寂しいなんて知らなかった。
会うのは、看護士と担当医ぐらいで、別の患者ともすれ違うことすら無い。
孤独―――。
頭の中に浮かぶのはその言葉ぐらい……。
「いつかは人は誰でも死ぬ。そういうもんだ…だが、お前の寿命を少しでも先に延ばすことは出来るさ」
岩田の大きな手が、晃の頭を遠慮なくかき乱す。
岩田と会うときだけは、孤独がなくなる。
岩田は晃の担当医だった。
ほんの少しの間だけど、毎日一緒にいられる。
孤独が薄れる瞬間。
ぶこつな笑顔だが、見てるだけで、凍った心が溶けていく気がする。
「分かるよ……。俺、死ぬんだろ?治らないんだろ?日毎に死にかけて行くような…そんな気がするんだ…」
いつしか、岩田の事が好きになっていた。
あの笑顔を、自分だけのものにしたいと思った。
だが、どうしてもその気持を伝えられないまま、今にいたっている。
このまま死んでいくなんて、自分のプライドが許さない。
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