狂気の世界

10/27
前へ
/76ページ
次へ
それは雨の日のことだった。 俺はいつものように自分の欲求を満たし、何食わぬ顔で家に帰る はずだった… 「ただいま。」 「おかえ…影人!?」 「あぁ…おかえり、母さん」 珍しく愛人の家に入り浸りの母が帰って来ていた。 俺の顔を見るなり青ざめる 「その血はどうしたの!?怪我!?」 叫びに近い声をあげながら母が駆け寄ってくる 無理もない 俺の顔は返り血で真っ赤に染まっていたのだ。 傘もささずに帰ってきたので、その血は服も赤く染めていた。 「一体…何があったの?」 怪我の有無を確かめながら心配そうに母が見上げてくる 「喧嘩の仲裁をしただけです。怪我はしてませんよ」 「よかった…」 ホッと母が安堵の息をつく 「一人が大怪我をしてしまいまして、これは彼の血です」 「そう…顔色も悪いわね?」 「あんな現場始めてでびっくりしちゃいました。それでボンヤリしてたので…寒い」 「シャワー浴びてきなさい。服は片付けておくから」 「すいません」 俺は苦笑いを浮かべてリビングを後にする
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加