狂気の世界

19/27
前へ
/76ページ
次へ
衝撃的な現場だった。 トラックに女性が轢かれた。 たまたま近くにいた俺は、すぐに轢かれた彼女の元に向かった。 現場に響く彼女の絶叫 トラックに轢かれた衝撃で、彼女の右足は皮一枚の状態でようやく繋がっていた。 俺には想像もできない激痛、そして恐怖が彼女を襲っているのだろう 辺り一面は血の香りで満ちていた。 誰もが目を背ける光景 そんな中で俺は冷静に彼女の手当てに当たっていた。 不思議と心は懐かしさと忘れてきたあの興奮で満たされていた。 死んだ彼女が俺に本当の自分を見せてくれたときのような しかしその興奮は明らかに前の時より、遥かに強かった。 怪我した彼女が叫んでいるからだろうか? 痛みで顔を歪めているからだろうか? それとも…この視界を埋め尽くす、赤い血のせいだろうか 多分全てだろう この一つ一つが俺を今までにない世界へと導く
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加