狂気の世界

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それからだった。 俺が傷つき、恐怖で顔を歪ませる女性を見るのを好むようになったのは。 最初はネットで流れる画像や、映画で満足していた。 むしろさせていた。 でなければ俺は犯罪を犯して快楽を得なければならなくなる そんなことをすれば、今まで築き上げた地位も将来も全て泡になってしまう それだけは避けたい そんなのは建前だが 行動に出たのはそれからしばらくしてのことだった。 最初に狙ったのは、通学時によく見かける黒髪の女性だった。 いつもバス停で本を読みながらバスを待っていた。 彼女の生活パターンを知ることなど、俺にとっては造作もないことだ。 狙うのは夕方 暗闇に紛れるのはよくない 意外と堂々としていた方が、怪しまれない 俺はネットで購入したナイフを手に彼女に近づいた。
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