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『兄さん、また近所で通り魔が出ていると聞いたけど』
「さすが明人、もう気づいたんですね」
『やっぱり兄さんが…』
「はい。今までこの衝動を抑えてきた自分を誉めてあげたいですよ」
『…』
「明人、教師に向けての勉強はどうですか?」
『順調だよ。まだ時間はかかるけど』
「そうですか、明人ならきっと頼りがいのある教師になるでしょうね」
『兄さん…?』
「きっとこれが兄弟として、最後の会話になるかもしれません」
『え?』
「明人が夢を叶える姿を見ることができないのが、残念です。それでは俺は、一足先に夢を叶えてきます」
『兄…』
明人が何かを言う前に俺は通話を終えた。
そしていつものように準備をして玄関へと向かう
今日は顔を隠さない
これで最後だから
だからこそ夢を叶える瞬間をこの目に焼き付けたい
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