狂気までの道

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『通り魔である中津死刑囚の処刑が本日執行されました。被害者の遺族はどんな気持ちでこの知らせを受け止めているのでしょうか』 再び騒ぎ始めたマスコミ 後1ヶ月もすれば誰も思い出さなくなる 世間などそんなものだ。 「…」 俺はニュースを見ながら机に置かれた封筒に目を向けた。 それは死刑が執行される前の影人が書いた最後の手紙 遺書と言うやつだろう 「…」 まだ中身は見ていない そんな気分になれない 見てはいけない気がするのだ。 この手紙には最後の影人の狂気が詰まっているような気がするから あの日、影人が言いかけた言葉の続きが綴られているような…そんな予感がするから 俺は封筒を引き出しにしまった。 自分の意識から追いやるように…
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