狂気の世界

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俺が部屋に戻ると、すでに父親が帰って来ていた。 「おかえりなさい。父さん」 「ただいま。なんだ、シャワー浴びていたのか」 「はい。ちょっと町内を走ってきて汗かいたもので」 「そうか」 「体育祭が近いんですよ。少しでもいい記録を残せるように体力作りを」 「いい心がけだな」 「ありがとうございます。夕食は?」 「取引先から招待を受けているんだ。今は荷物を取りに来ただけだ」 「そうですか」 「明人はどうした?」 「部屋で勉強してるのではないかと、呼んできますか?」 「今はいい」 「わかりました。コーヒー飲みますか?」 「いただこうか」 「はい」 厳格な父 彼がいるだけで家の空気は変わる 母はそんな父が嫌いで愛人の家に入り浸り 父はそれを知っていても何も言わない どうせ父にも愛人がいるのだろう、俺達が知らないだけで 「おかえりなさい、父さん」 「明人か、勉強は進んでいるか?」 「はい」 「明人、コーヒー飲みますか?」 「うん」 明人が父の向かいに座ったのを確認して、三人分のコーヒーを置く
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