狂気の世界

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「最近、この辺りでは物騒な事件が多いそうだな」 コーヒーに口をつけ、父がそう切り出す 「はい。まだ亡くなった方はいないそうですが…早く犯人が捕まって欲しいですね」 その事件を起こしているのはこの俺 しかし平然とそう返す 隣では明人が複雑そうな表情でコーヒーを飲み続けている 「お前達も気を付けなさい。女性ばかりを狙っているそうだが…いつお前達が狙われるかわからない。お前達には日本の未来がかかっているからな」 「父さんの期待に添えるよう頑張ります」 聞き飽きた父の言葉に、これも言い飽きた言葉を返す 父は大企業の社長だ。 いずれはその会社を俺が継ぐことになっている だから社長の座に座るにふさわしい人間になれるよう、昔から様々な教育を受けた。 敬語はその名残りみたいなものだ。 もちろん、明人も後継ぎの候補なので同じような厳しい教育を受けてきた。 本人は教師になりたいそうだが
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