12人が本棚に入れています
本棚に追加
これは某タクシー会社の
男性ドライバーが
勤務中に体験した話です。
「あーぁ、今日も
遅くなっちゃったなぁ」
ここ最近、会社へ戻る
時間が遅く、深夜になる。
今日もまた、遠出の
方を目的地まで送り
会社への帰路を進む。
「ラジオでも聞くか…」
『ジジ…えー、次の曲は…』
~♪
ラジオから流れてくる
俺の大好きな曲。
思わず歌詞を口ずさむ。
ふと道端に目をやると
1人の女性が立っていた。
「乗るのか…?」
キキ…ガチャ
こんな時間に客なんて
と不思議に思いながら
車を停めると女性は
客なのか、車に乗った。
「お客さん、どちらまで?」
「………」
話かけても女性から
応答はなかった。
かといって、その場に
いるわけにもいかず
とりあえず車を出した。
よくよく考えると
やっぱりおかしい…。
女性の顔は長い黒髪で
隠れていて見えないが
唯一見えている口元は
うっすらと笑っている
ようにも見えた。
「…そこの脇道に
入ってください…」
「わっ、え、あ、はい…」
考え事をしていると
耳元で声がした。
状況から女性なのは
間違いないが、それは
生気をもっていない
ように感じた。
最初のコメントを投稿しよう!