赤い部屋②

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「こ…この道ですか?」 そう問いかけると 女性は黙って頷いた。 多少不審に思いながらも 俺は車を走らせた。 「…止めてください」 暫く行くと女性は 車を止めてほしいと 言ってきた。 「ここで…ですか? こんな時間に…危険ですよ?」 「止めてください」 仕方なくその場に 車を止めると女性は 黙って車を降りた。 そのまま森の中へと 消えていく女性が 少し気になった俺は 車を降り、そっと 女性の後をつけた。 (一体どこに行くんだ?) そんなことを考えていると 女性が急に進路を変えた。 それまでただ真っ直ぐに 歩いていたのが右へと 進みはじめたのだ。 慌てて女性の後を追うと そこにはいつ壊れても おかしくないような 屋敷が建っていた。 「こんな屋敷あったかな?」 暫く考えてみたが わからなかった。 ふと屋敷を見るとドアが 閉まったのが見えた。 俺はドアの前まで行くと ノブに手を伸ばした。 が、途中でやめた。 人の家に勝手に上がる のは気が引けたからだ。
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