最後の一人

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村の方角とは、正反対の方を薬売りは見ていた。 多い茂る樹々を眺め、フッと穏やかな表情になる。 そんな無防備な薬売りの背後に、影が忍び寄る。 草むらの音もたてず、だが、確実に近付いていく影。 影の袖から、包丁が不気味にギラリと鈍い光を放ち、姿を現した。 それを、目の前の男に振り下ろす時… 薬売りは言った。 「感謝というのはこの事か…。」
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