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「きゃー! 疾風様ぁ~! こっち向いてぇ」
うるさい。
「キャー! 疾風様ぁ、私をお持ち帰りしてぇ!」
黙れ! 女共!
「……よぉ疾風、いつも通りだけど凄い人気だなぁ」
女共の黄色い呼びかけの中、俺に話しかけてきたコイツは、俺の友達で藍田省吾。
……簡単に説明すると、アホでバカ。
存在価値など1ミリたりともない、正真正銘のクズだ。
「なんだ省吾か……」
俺は基本クールキャラで通っている。
女共にとってはそれが逆にミステリアスな印象を与えているらしく、人気が高まった理由の1つらしい。
まぁこのバカに聞いただけだから信用できんがな。
「なんだとは失礼だな! この省吾様に喧嘩売ってんのか? あ? ……ぐはぁ!!」
裏拳で鼻をクリティカルヒットさせるあたり……俺、天才かもしれない。
しっかし上手く決まったな……可哀想に。
「朝から裏拳はないだろ……ってか鼻血出てるよぉ!!」
残念だがティッシュなんか持ってないぞ?
泣きそうな目をしたって湧いてくるもんじゃないしな。
「すまん、悪気はなかった」
もちろん棒読み。
だが省吾は「いいって! もとはと言えば俺が悪かったんだし!……なんで殴られたんだっけ?」
やはりアホでバカだ。 アホ過ぎて目も当てられねぇよ。
脳みそは多く見積もっても2グラムがいいところだろうな。
まぁ俺はそんなバカ相手に時間を潰すほど暇ではないので、その後はオール無視を貫き校舎へ足を踏み入れた。
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