第壱章 ~傭兵~

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ウィリアムは紅茶を口にしながら、イーチェに尋ねた。 「失礼だが、イーチェ。君は今いくつなんだ?」 彼がそう尋ねると、イーチェは眉間に皺を寄せた。 「いきなりですね? 女性にそれを聞くのは失礼ですよ?」 ウィリアムは失礼と承知で尋ねたのだから、これくらいは想定内だ。 「事前に失礼だがって言ったつもりだが?」 「事前に言っていたとしても、失礼なものは失礼なんです」 プイとそっぽを向き、頬を膨らませる。 イーチェのそんな様子に観念したのか、ウィリアムは頭を下げた。 「申し訳ありませんでした。私の無礼をお許し下さい」 それを横目でチラリと伺ったイーチェは気分を良くしたのか、ウィリアムに語りかける。 「ま、まぁ… そんなあなたに免じて特別に私の年齢を教えてあげます」 当のウィリアムはそこまで知りたい訳でも無いのだが、今となっては後の祭。 偉そうに踏ん反り返るイーチェを見つめながら、ウィリアムは彼女の言葉を待った。 「私の年齢はじゅう―「12歳」って…!? ウィルさん何で先に言うんですか!?いや、それよりも何で…!」 ウィリアムは彼女の年齢をそんなもんだろうと踏んでいたのたが、一応にと思い確認してみたのだ。 「当たっていたか? なるほど、12歳か」 「お、大当りですっ! 悔しいからウィルさんには薪割りをしてもらいますっ!」 イーチェはそう言うと、薪の束に指を差した。 「何でそうなる?」 「何でもですっ! 私はこれから夕食を作るので、ウィルさんも何かしろって言うことですっ!」 無理やり薪をウィリアムに押し付けると、イーチェはさっさと台所に向かい、料理を開始した。 ウィリアムは仕方なく、薪を持って外に出ると、切り株に置かれた斧を手に取り薪を割り始める。 「薪割りは初めてなんだが… やってみるか」 彼の割る薪は、スライスされていた。
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