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「私を陥れたのはヨロキだ! 奴はエドワードを次期国王にしたいが為に、邪魔な私を葬ろうとしているのだ!
エドワードが国王になれば、この国はヨロキの私物と化すぞ!」
「ヨロキ様がそのようなこと、なさる訳がない!」
カルロスは大きく首を振り、否定をする。
「そうか…、分かった。 ならば私を斬れ!ヨロキに殺されるくらいなら、お前に斬られるほうが良い!」
ウィリアムはそう言うと両手を広げ、カルロスを見据えた。
その目には覚悟が浮かんでおり、武勇を誇るカルロスも、これには少し戸惑った。
「どうした? 斬らぬのか? よもや、カルロス程の男が臆した訳ではないな?」
ここにきて、ウィリアムはカルロスを挑発した。
これにはカルロスも反応したのか、切っ先が下がっていた剣を再度構えると、厳しい目付きでウィリアムを睨む。
カルロスは剣を振り上げた。
ピタッと肩の上で剣を止めると、両手を広げたままのウィリアムを見る。
彼の顔に恐れは無く鍛練の時ですら、こんな表情は見たことが無かった。
良い顔つきをなさる…
カルロスは素直にそう思った。
ウィリアムが幼い頃などは、転んだくらいで泣いていたものを。
一瞬、走馬灯のように昔を思い出していたカルロスだが、頭を軽く振り雑念を飛ばす。
「ウィリアム様、そのお命。貰い受けますぞ!」
カルロスは振り上げた剣を思い切り振り切った。
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