序章

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ウィリアムは王座の間へ続く、大きな扉を押して開ける。 そして入るなり、大きな声で怒鳴った。 「父上! 父上はおられるか!」 誰もいない閑散とした王座の間に、ウィリアムの声が響く。 彼は周りを隈なく伺う。 見たところ、ウィリアムの他に誰もいない。 そこにコツコツと渇いた足音が、王座の間に響き渡った。 ウィリアムは足音のする方向を向くと、そこには立派な風格をした男が現れた。 そして、その男は王座に座するとウィリアムをギロリと睨み付ける。 「ウィリアムよ、父である儂を呼び付けるとは何事だ?」 ずっしりと構える国王、オーギュスト アメストリアは低い声でウィリアムに尋ねる。 「父上にお話したきことがございます!どうか、聞いて下さい!」 ウィリアムは父である、オーギュスト アメストリアの座る王座の近くまで行くと、その場にひざまづいた。 「その前に、ウィリアムよ。そなたは今軟禁中のはずだが?」 ウィリアムを蔑むように、オーギュストは言い放つ。 「そのことについてのお話なのです! そもそも私がこのように謀叛の疑いをかけられ、軟禁されているのも全てはヨロキの仕業です!」 「ほう、ヨロキの仕業とな… そのところどうなのだ?」 オーギュストがウィリアムの更に後ろに声をかける。 「!?」 ウィリアムが振り向くと、ヨロキが多数の兵を連れて立っていた。 「はい、陛下。ウィリアム様は私の仕業だとおっしゃいますが、それは違います。騙されてはいけませんぞ」 「貴様、何を根拠にっ!」 ウィリアムはヨロキに向けて怒鳴る。 ヨロキはそんなウィリアムを無視するとオーギュストに向けて話を続ける。 「ウィリアム様が謀叛を企てたのは周知の事実。城の者たちも多数証言しています」 そのヨロキの言葉に、いつの間にか集まっていた重臣達も頷く。 「釈明の余地もあるまいな。即刻ウィリアムを捕らえ、処刑せよ」 オーギュストが王座から立ち上がる。
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