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俺の家族は姉貴と父さんと俺の三人だ。 母さんは俺が五歳の時病気で死んだ。 それからは父さんが男で一つ俺達を育ててくれた。 そして姉貴は今年から一人暮しを始め、今は父さんと二人で暮らしている。 母さんが死んでからあまり母さんのコトを聞くコトはなかった。 どう聞いていいのか判らないし、父さんに迷惑を掛けてしまうと、幼い頃から聞けずにいた。 ケド、今日はいつのまにか母さんの話になっていた。 「酒飲んでたんだ」 「あぁ、結構飲んでたなぁ」 「へぇ~…」 晩飯のサバの味噌煮を突きながら、の会話。 俺のイメージの母さんではお酒を飲んでるなんて考えられない。 以外だなぁ、と俺は思う。 明るくて、けれど品があって、落ち着きがあって……上手く言えないがそんなイメージの母さん。 飲んでたの知ってはいたケド、父さんの口振りはそうとうなんだと思う。 だからこそ以外だった。 「後タバコも吸うぞ」 「タバコ?」 これもだった… 仏壇に飾られる母さんの写真。穏やかに笑みを溢す。 やっぱり予想つかなぃ。 父さんだけが吸っていると思ってたが…… 俺に父さんは、まだぁるぞ、と言う。 「パチンコとかなぁ」 「はぁ?……パチンコ?…」 つい、驚いてしまう… 写真を見ながらやはり思うのは、「ありえない」。 父さんがしているのは判る。母さんがしているなんて…… 暫らく考えて、あぁそぅかと俺は納得した。 「だから父さんと気が合ったんだな!」 「…そぅだなぁ!」 俺の言葉に父さんは微笑んだ。 俺もそれに合わせて笑った。 母さんのイメージが変わって、ビックリだったケド、父さんと母さんの仲が知れて良かったなぁと思う。 そんなコトを思いながら俺は穏やかな気持ちで居たが、父さんがそれを消しさった。 「だが、一つ気が合わないトコあったぞ」 「何が?」 「お前を妊娠してる時…」 なんで? 俺が首を傾げると父さんは少し苦笑いしながら言った。
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