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転校生は俯いて、小さく呟いた。
「ごめんなさい。謝るわ」
意外に素直な子だった。
あたしもこれには少し驚いた。あんな、他人を拒絶しそうな表情をしているのに、なかなか従順なのね。素直な子は嫌いじゃない。
あたしは気分がよくなったから、わかればいいわ、と言った。
そう、真珠。
彼女はあたしの真珠のネックレスを興味津々という表情で見ている。さすがにその熱っぽい視線があたしの鎖骨に集中すると気分が悪いので、思わず後ずさった。
「それ、綺麗ね」
そう思う? あたしは聞いた。
転校生は黙って頷いた。
「きっと高価なんでしょう」
この子は良い。あたしが求めていた、低俗でない人間。あたしの真珠の価値を理解して、あたしに従順な子。そんな人間をあたしは求めていた。
あたし、この子と「友達」になりたい。
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