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ねえ、とあたしは転校生に声をかけた。彼女は睫毛の多い瞳をこちらに上目遣いで向ける。
あんた、あたしと「友達」になりましょうよ。
あたしはそう言った。
そう言ったら転校生の表情は一変した。
「やっと私を認めてくれたのね」
何? この子……怖い。
本物の日本人形みたい。瞳が死んでいるみたい。輝きが無くて、冷ややかで、あたしは、嫌いな瞳。
「貴女の着飾り方、気に入らない。だから殺すわ」
何よ、それ。あたしを、殺す?
何が出来るって言うのよ。あんたは一女子高生に過ぎないじゃない。何が、何があたしを殺す、よ。訳わかんない。
あんたは大人しくあたしに従って、あたしのセンスを理解してくれればいいじゃない!
何よそれ、何なのよ。
「ではさようなら、日高珠里」
ふざけないでよ。あたしはまだ十七歳で、まだこれから青春があって、そうじゃないの? あたしはまだ生きるでしょう? 事故も病気もしてないのに、なんで。なんであたしは堂々と殺人宣告されてるの?
訳が、わからない。
嫌、嫌、死にたくない!
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