真珠

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*  私は人間ではないけれど、たとえ人間でも珠里に従いたいとは思えない。  死の間際、彼女の顔は醜かった。生への渇望。ひどく歪んで、真珠はもぎ取られた。  私は気ままに殺害を繰り返す。その標的に基準は無い。ただ私の気に入らない琴線に触れれば、それを殺すだけ。  彼女の場合は、けしてその性格が気に入らないのではなく、あの真珠の扱い方が気に入らなかった。性格で殺害を繰り返せば、標的は一気に増えるだろう。  真珠は音を立てて落下していく。給水槽から、屋上のコンクリートへ。更に勢いあまったものは、校庭へと。  落ちて……落ちて、散り散りになった。
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