相思相愛

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「どうしたの、クリス?」  僕が彼女について物思いにふけていると、メグが隣で甘い声を出した。  僕は君について考えたんだよ、と答えた。東洋人はそういったストレートな言葉に慣れていないらしい。メグは恥ずかしそうに頬を染めて俯いてしまった。  メグは恥ずかしがりな女の子だ。はじめて僕と出会ったときからそれは変わっていない。  僕とメグが出会ったのは、さっきも触れたが二年前の今日だ。  その日の僕は何の気なしに外を散歩していた。特にやることもなく、暇だったので手ぶらで歩いていた。今日はオレンジが安いな、とか、空は澄んで太陽が高いな、とか、そんな平凡な事柄を思っていた。  僕がふと路地裏に目をやると、そこには路地の薄暗さと同化してしまいそうな黒い髪を持った女性と目が合った。  一目ぼれ、だった。
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