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「あ……その……」
彼女は俯いてしまった。恥ずかしい、のかな。耳もほんのり赤いし。
僕は何か間違ったのかな。少し不安になる。とりあえず何か話してくれないかな。
「その」
彼女が少し時間を置いて、話してくれた。良かった。
「明るい場所は、苦手で」
「こんな明るい日に? それは勿体無いよ」
君はただでさえ綺麗なんだから。
最後の言葉に、また彼女は赤くなる。本当なんだけどな。
僕は彼女をここから連れ出してしまいたかった。こんな場所に一人でいるなんて、太陽が高い今日に似合わない。せっかくのいい天気の日だし、この出会いを無駄にするほど僕は男として馬鹿じゃない。
「君、この街に住んでる?」
「はい……来たばかりで、よくわからないですが」
「じゃあ僕が案内するよ」
そう言った僕に迷いはなかった。
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