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小雨が降る中、私はあの娘を待っていた。どうせすぐに来る。そんなことはわかりきっていたから。
ほら、定刻通り。
可愛い……なんて悲惨な顔。たくさんの殺害を繰り返してきた貴女が怒るなんて珍しい。
「なぜ……なぜ貴女がいるの、『愛憎の華』」
その名前は嫌いなのよね、「断罪の華」さん。貴女のその名前も、けっしていい名前とは思えないけど。
私を毛嫌いしているのよね、貴女は。私が貴女の殺害理由に該当しない項目で殺害しているから。
色恋を理由にしてはいけないというの?
「違うわ。彼は私が殺害するつもりだったのに、なぜ貴女がいるの、と聞いているの」
予定は未定よ。覚えておくといいわ。
貴女には物質を透視する千里眼があるけれど、時を読むことは出来ない。それだけの結果よ。
私はただ、予定を歪めただけ。
「『時空歪曲』……っ!」
それに、獲物を奪い取るって気分がいいのよね。特に、愛を知らない可哀想な貴女からは。
ねえ? 「 」さん?
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