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「その名で呼ぶな!」
あら、やっぱり機嫌を損ねたかしら。そうでないとやりがいがないわ。
私、貴女が嫌いなの。いつもいつも無秩序な殺害を繰り返して。生きていく糧としてでも、無差別殺人は気に入らないわ。私の理論では。
私にはちゃんとした基準があるのよ。「人間と妖怪の狭間に生まれた私を愛した人間の男」。これが私の殺人。
でも貴女は違う。「気に入らないから」。なんて抽象的で短絡的なの。反吐が出るわ。人間も妖怪も、何の見境もなしに殺す。私そういう女、嫌いなのよね。
だからいつか貴女には苦しんでもらおうと思ってた。他人を苦しめる貴女でも、自分は苦しめたことないでしょう? その貴重な体験を私はさせてあげようと思ってるの。
「……なんですって」
だから、私の力で貴女の事実を歪曲してあげる。貴女の悲しい悲しい過去を、美しく歪めてあげるわ。
さあ、お休みなさい、「 」。
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