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私の誇りはその瞳にあった。
私の美徳はすべてその瞳だった。
私の名は、ヒスイという。翡翠色をした瞳を持って生まれたから、ヒスイ。
安易だとは思う。でも私自身、鏡と向き合ったときに映るこの翡翠色が好きだった。
私の姿はあまり美しいものではない。それは誰より私が一番承知している。
醜い、黒い、艶の無い長髪は私の顔を覆い隠すには十分すぎた。爛れたような頬を隠したくて、私はいつも顔を隠していた。口は大きく、鼻は低い。瞳だけが異次元のもののように美しく煌いている。
人は私の事を「化け物」と呼んだ。それがけして良い意味ではないことくらい、頭の良くない私にでもわかった。彼らは私をけなして、軽蔑してそう呼ぶのだ。
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