華の記憶

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「こっちへおいで、  」  やめて。その名で私を呼ばないで。 「  は本当に可愛いなあ。お前に似たか」  そんなふうに笑わないで。幸せを演じないで。どこにでもある家族みたいにしないで。  私は普通じゃない。  人間と妖怪の間に生まれた「華」。  私は、違う。 「大きくなったら、きっと優しい子になるだろうな」  勝手に押し付けないで。  私は。私は……! 「ただの出来損ないよ」  ――残酷なほど美しい、私を産んだ親の声を聞いた。
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