華の邂逅

3/6
前へ
/261ページ
次へ
「さて、貴女とお喋りしててもつまらないってわかったわ。私、もう帰ろうかしら」  この女は何をしたいと言うのだろう。私を苦しめたいと思いながら、私を放って帰ろうとしている? 「その顔は、不思議で仕方ないのね。素直な子」  顎から手を離し、彼女は私を見下す形になった。それはなんていう……屈辱。  まるで彼女が私よりも優れているようで。 「だって貴女、いたぶる価値もないくらい悲劇的なんだもの」  ……その、言葉を。  その言葉を聞いて、私はどう思ったのだろう。よくわからない、私自身のことなのに。  それはきっと、私が我を忘れたから。  我を忘れるほど、怒りに心は染め上げられたから。
/261ページ

最初のコメントを投稿しよう!

260人が本棚に入れています
本棚に追加