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「さて、貴女とお喋りしててもつまらないってわかったわ。私、もう帰ろうかしら」
この女は何をしたいと言うのだろう。私を苦しめたいと思いながら、私を放って帰ろうとしている?
「その顔は、不思議で仕方ないのね。素直な子」
顎から手を離し、彼女は私を見下す形になった。それはなんていう……屈辱。
まるで彼女が私よりも優れているようで。
「だって貴女、いたぶる価値もないくらい悲劇的なんだもの」
……その、言葉を。
その言葉を聞いて、私はどう思ったのだろう。よくわからない、私自身のことなのに。
それはきっと、私が我を忘れたから。
我を忘れるほど、怒りに心は染め上げられたから。
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