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馬鹿に、しないで。
私の口はそう言った。馬鹿にしないでと。
愛憎の華はそれを、冷めた目で見ていた。
馬鹿にしないで!
今度は、声を荒げて叫ぶ。こんな風に喋るのは久し振りだ。私がまだ両親の間にいたころ、そのすべてを奪われたとき以来。それくらい、感情とは無縁だった。
何故、今こうしているのだろう。
私は何故、こんなにも怒っているのだろう。わからない。何故?
私は愛憎の華を睨んだ。手を出してしまいそうなくらい、私の怒りは激しいものだった。
反対に愛憎の華は、興味のないといった顔をしていて、それが余計気に入らなかった。
貴女にそんなことを言われたくない。貴女に私の何がわかると言うの?
私は、そう叫んだ。
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