260人が本棚に入れています
本棚に追加
「何もわからないわよ」
彼女はぴしゃりと答えた。
「どうでもいいの、そんなこと。両親に愛されて捨てられた可愛い娘? そんな安いシナリオは要らないの」
私はもっと面白い、愛の欠片もないストーリーを期待してたのに。
彼女はそう言った。退屈そうな口調だった。
それに私は、怒る価値もないと思った。私の過去は彼女の自己満足のために存在しているわけではない。だから、関わる必要もない。そう考えて、怒るのを止めた。
代わりに私は言う。
貴女がどう思おうと勝手よ。生憎私は貴女の期待に沿える存在ではないの。だって私は私のために存在するのだから。
そう言ったら、愛憎の華は眉を寄せた。不愉快そうな顔。私に対する敵意。それをひしひしと感じた。
最初のコメントを投稿しよう!