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鬼さんこちら、手の鳴る方へ。
鬼さんこちら、手の鳴る方へ。
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「またボクが鬼なの?」
「当然だろ、お前以外に誰がやるって言うんだよ」
ボクは逃げる役をしたことがない。遊ぶやつらはみんな、ボクを鬼にしたがるから。
別に鬼は嫌いじゃない。逃げるやつらを捕まえる、それが嫌いなわけじゃないよ。
でも、やっぱりボクだってたまには逃げてみたいんだもん。
そして何より、彼らがボクを鬼にする理由が嫌だった。
ボクは鬼子(おにご)だ。
正真正銘、半妖でも、ましてや華でもない、鬼の子供。
ボクの両親は恐ろしいことで有名な鬼で、ボクもそんな鬼になることに憧れている。
でもまだ子供である鬼子のボクは、周囲からからかわれているだけだ。
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