260人が本棚に入れています
本棚に追加
/261ページ
私に好んで近寄るものなどいなかった。私はいつもひとりだった。
そんなことは慣れていた。私は馴れ合いはしない。一匹狼を気取るわけではないが、もうひとりに慣れてしまったから、他人と馴れ合うことを忘れてしまったのだ。
私の目を髪のフィルターから外してくれたのは、ひとりの少女だった。
その少女は、ある日突然私の眼前に現れた。
私は人目をはばかり、誰も来ないような土地に生きていた。少女がここにやってきただけでも私には驚くべき事項だったが、それ以上に私に話しかけてきたことに驚愕した。
少女を一言で言うならば、「黒」だろう。
装束も瞳も髪も、すべて黒いのだ。肌は私に似た白をしている。不健康そうな色だ。私の髪と同じくらいの長さの長髪なのに、私とは違って艶があり美しい。
最初のコメントを投稿しよう!