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鬼子の容姿なんて、人間と大差ない。
小さい身体で、牙もなくて。金棒なんて物騒なものは持たせてもらえないし、頭の角だって成長途中で小さい。人間と大きく違って見えるのは青い肌くらいしか、今はないし。
だから人間みたいに非力だとボクは他の妖怪から馬鹿にされて、「鬼ごっこ」ではいつも鬼。でもそんなの、「ごっこ」じゃない。
ボクはいつも不満だった。でもボクは弱いから、力では勝てないことは知っていた。ひとりで遊ぶのはつまらないし寂しいから、それも嫌だった。
「いいから、芒(すすき)。早く目つぶって十数えるんだ、早く!」
他の子供に促されるまま、ボクは大きな木の幹によりかかって目を閉じた。
いーち。
にーい。
さーん。
……そんなの、つまらなかった。
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