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よーん。
ごーお。
ろーく。
「……退屈?」
「えっ」
女の、妖怪の声?
ボクは困った。鬼ごっこでは目をつぶってないと他のやつらにズルだと怒られるし、でも、この妖怪はボクに話しかけてくれてるし。
悩みに悩んだボクは、目を開けた。木の幹からはがれるように振り返る。
そこにいたのは、真っ黒い装束に真っ黒な長い髪を流した、女の妖怪だった。
いや、でも何か違う。見た目が人間に似すぎてる。
でも人間には鬼であるボクは見えないはずだし……お洒落好きな女郎蜘蛛か何かかな?
ボクは彼女を女郎蜘蛛だと思った。だから、話しかけた。
「な、に?」
といってもボクは臆病だから、震える声でそう言うしかできなかったけど。
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