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ボクは駆け出した。鬼ごっこは途中だったから。
鬼ごっこをやめて女妖怪と話してたと知られたら怒られるに決まってる。ボクはそれを恐れて、ひとり走っていた。
森の中、開けた草っぱらにボクは出た。誰もいない、見当たらない。
あれ? いつもはみんな、ここでボクを待ってはからかっているのに。
ボクは急に不安になった。いつもと違うことに不安になった。
「みんな、どこ……?」
これはかくれんぼじゃない。だから、森の中には逃げ込まないのがボクらの暗黙の了解だった。
ボクが目をつぶって数を数えるのも、そうだと信じきっていたからで。
「どこにいるの……返事してよ、みんな」
おかしいよ、こんなの。
なんで? なんで?
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