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つまるところ、私はこの少女の美貌を羨ましく思った。血の気がなさそうな肌は不安だが、それ以外は私が憧れる容姿だ。
少女は私に話しかけてきた。
「貴女は何故こんな場所に居るの?」
私は、人が私を忌み嫌うからだ、と答えた。少女はそうなの、と言った。彼女は笑わなかった。
「何故嫌われたの?」
興味深い少女だ。言葉を包むことも無く、興味本位で聞いているのか? 年齢に似合わず、幼い問いかけをする。
私は、この姿が気味悪いから嫌われたのだ、と答えた。少女はやはり、そうなの、と答えた。
またも少女は笑わなかった。冷たい瞳のまま私を見ている。
少女が私の顔を覗き込んでこようとした。それと同時に私の中では、激しく記憶が交錯した。
――ああ、駄目だ。
私は少女を拒絶した。
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