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「今日は、お祭りですか?」
私の質問に彼女は、驚いた顔をした。
「知らないんですか?
勇者が魔王を、倒したからそれのお祝いです。」
「え…………?」
その言葉を聞いた瞬間、時が止まった。
魔王様が…………死んだ?
………嘘だ、……嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ!!
女の人は、不審そうな顔をして去っていった。
私は、誰彼構わず魔王様の事を聞いた。
けれど、皆の答えは一緒だった。
『魔王は勇者に殺された。』
皆に不審がられたが、気にしなかった。
いや、魔王様の事しか考えれなかった。
嘘だ……魔王様が死ぬはずがない。
その期待だけで、聞いてまわった。
けれど、皆の答えはやっぱり一緒だった。
『魔王は勇者に殺された。』
もしかしたらこれは、魔王様が仕組んだドッキリかもしれない。
だから、皆が嘘をつくんだ。
そう、思った。
いや、そう思わないとやってられなかった。
そして、ずっと皆に聞いてまわっていた。
………その事を不審がった、町民が通報したんだろう。
警察がやってきて、私は追い出された。
そして、その場でボーッとしていた。
嘘だ……嘘だ……嘘だ……。
私の頭のなかに、ずっとその言葉がリピートされていた。
そして…………涙が出てきた。
何故、出てきたか分からなかった。
………………いや、頭のどこかでは分かっていたんだろう。
………………………………魔王様が死んだ事を………。
私は、駆け出した。
倒れていた、場所を目指して。
泣きながら走った。
何も考えたくなかった。
一週間以上かかるはずなのに、五時間ぐらいでついた。
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