3人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、倒れていた場所で泣いていた。
ずっと泣いていた。
飢えや、喉の渇きなどは感じなかった。
ただ泣いていた。
日にちも分からなくなるぐらい、ずっと泣いていた。
そんなとき、最後にあったときの事を思い出した――――――。
私は、勇者達と戦いにいこうとした。
………………私じゃ、勝てないと分かっていながら。
…………それでも、……魔王様が倒してくれると信じて…………。
そして、玄関に向かおうとした瞬間、首筋に衝撃があった。
そして、意識を失った…………。
………………そういえば、あのとき後ろには魔王様しかいなかった。
と、いうことは攻撃してきたのは魔王様………?
……………一体、何のために?
そして、考えた結果、ある答えに行き着いた。
……………魔王様は、私を逃がしてくれた?
……今まで気付かなかった、魔王様の優しさ。
もし、あのまま私を止めずに行かせていたら魔王様は、勝てただろう。
それでも魔王様は、私を逃がしてくれた。
そう、考えると止まっていた涙が、再び流れた―――――。
…………いつまで、泣いただろう。
もう、多分、涙は出ない。
全部、出し切った。
そして、私は決意した。
………………魔王様の分まで生きよう。
それが、多分、魔王様の願いだから。
だから、私は生きよう。
どんなに辛くても、どんなに悲しくても、私は生きよう。
そして、現在に至る。
今は、倒れていた森に家を建ててそこに住んでいる。
あと、魔王様のお墓を建てた。
二つ共、自分で作った。
あの町には、もう入れないから。
全部自分でやらなくちゃいけない。
最初のコメントを投稿しよう!