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それは、いきなりやって来た。
そう、急に、唐突に、突然、やってきた。
僕達は窓の外を睨んでいた。
正確には、彼女は呆然と眺めていた。
「……………魔王様。」
ようやく、口が開けるようになったらしい。
「………何だい?」
僕は、出来るだけ優しく返事をした。
「……………あれって勇者ですよね。」
「…………うん。」
「…………しかも、ざっと数えて二十人はいる…。」
「……………うん。」
今、僕達はすごい危機的状況にある。
「……………魔王様。」
「………何?」
「…………勝てますか?」
その質問に、少しビクッとした。
けど、
「…………………勝てるよ。」
僕は、彼女の目を見ないで言った。
「………そうですか。」
そう言って、彼女はどこかへ行こうとした。
「!
どこに行くんだい?」
僕の質問に、彼女は振り向かずに、
「………玄関です。」
………やっぱりか…。
僕は、この答えが返ってくるのを分かっていた。
…………彼女の考えていることは、手に取るように分かる。
だから、こんな質問をしないでも答えは分かっていた。
でも、質問せずにはいられなかった。
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