空のかんづめ *

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空のかんづめ *

缶切りを鳴らしながら わたしは考える この缶詰には 素敵が詰まっている 朝焼けの赤紫 薄曇りの白濁 晴やかな薄青 夕暮れの橙色 ほし空の濃紺 それらは広がり わたしを包み 色とりどりの美貌は 絶望をも吹き飛ばす 缶切りをしまいながら わたしは考える この缶に詰まった豆を どう料理しようか 次の妄言の 原動力とするために
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