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「大変申し上げにくいのですが…彼女の、あなたの奥さんはとても珍しい病にかかっています。
いえ、珍しいどころか今までにも例を見ない、新しい病です」
医者は僕の眼を真っ直ぐ捉えて淡々と告げた。
その瞳の中にはとてつもないほど慌てた表情をしている僕の顔があって、あぁ、今僕はそんな顔をしているんだなと、
何故だか冷静に状況を見つめている僕がいることに気づいた。
慌てふためく瞳の中の僕はなんだか滑稽で、
恥ずかしかったこともあり、僕は冷静さを取り戻した。
「それで、どんな病気なんですか」
それから僕は気づいてしまった自分の冷静さを隠すことなく、静かにそう尋ねた。
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