アタシと家族の崩壊と父

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リビングで祖母と談笑する母の姿があった。   母はアタシに気付くとニッコリ笑い、アタシを抱きしめ優しく頭を撫でる。 アタシはまた鳴咽を上げながら、母の優しい手の心地良さに甘えた。   しばらくすると同じように兄がハァハァと息を切らし帰宅。   兄は母を見て   「帰ってたんだ。」   ってすまし顔で言うから、母がプーッと吹き出し、祖母もアタシも兄もゲラゲラ笑った。   暫くの談笑が途切れた頃、 母が今日までの事をゆっくり説明し始める。   父が仕事中、建設中のビルからうっかり転落した事。   3日、意識が戻らず更にあちこち骨折していたこと。   意識が無事に戻り、近いうちに外科の手術をする予定であること。   冷静に、涙も流さず、力強い表情で語り、母はまたニッコリ微笑んで病院へ戻って行った。
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