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「…っ、譲っ!」
隣にいた俺は譲が給湯室から出る前に譲の腕を掴み制止する。
俺はあの二人組を大いに呪った。
「おい!」
暴れる譲の腕を離すまいと力を込める。
手に持っていた缶ジュースが床に落ちて、大きな音を立てるのも耳に入らない。
「離…せ!」
「行ってどうするつもりだよ!?」
「わかんねーよ…わかんないけど…でも!」
譲がついにボロボロと泣き始めた。
好きな人が別の好きな人のために泣いてる。
そいつのために我をなくしてる。
胸が潰れそうに痛かった。
「行ってふたりの邪魔でもするつもり?そんなことしても翔平が手に入るわけじゃないだろ!」
「…っ!うるさい!お前に何がわかるんだよ!何にもわかってないくせに!」
「わかってねーのはお前の方だ!」
ダンッと音が鳴る程に譲の両腕を壁に押し付ける。
普段の俺からは考えられないような言動に、譲が怯えたように俺を見上げた。
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