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「もうこんな俺嫌いになったでしょ?」
「…っ、そんな…」
「…嫌いになってもいいから、」
壁に押し付けていた両手の力がずるりと抜け、譲の肩に顔を埋める。
「…嫌いになってもいいから…頼むから…あいつんとこ行かないで。もう、あんな切なそうな顔の譲…見たくない。」
情けなくも、声が奮える。
顔を埋めた譲の肩から感じる温もりとか、譲の匂いとかが愛しすぎて涙が出そうだ。
「…ごめん。」
涙が溢れる前に、譲から離れた。
顔を見られたくなくて、転がっている缶ジュースを拾って出口へと向かう。
「…っ、涼!」
譲が制止する声も聞かず、来るなと言わんばかりにドアを閉めた。
かばんも持たずに校舎から出る。
「…こんなはずじゃなかったのになあー。」
ひとりでぽつりと呟いて、歩き出した。
もう譲と話すこともない。
無理して笑うこともない。
俺の中の仮面はもう、ボロボロに崩れた。
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