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「わかんねーよ。そんなの俺が知りたいっつーの。」 「なんかあるでしょ?きっかけとかさー。」 「うーん…あんま覚えてねぇなぁ。気づいたら、って感じだったし。」 「気づいたら、ねぇ…。」 「涼だってあるだろ。そう言うの。」 「……俺はあるよ?ちゃんと、きっかけ。」 横顔が好きだった。 スッと通った鼻筋とか、長い睫毛とか。 でもその横顔はいつも嬉しそうで、悲しそうだった。 視線の先にあるものに気づくのに、そう時間はかからなかった。 最初はほんと、ただの素朴な疑問だった。 あいつのこと好きなの? 男なのに? ほぼ初対面でそんなことを聞かれた譲の慌てようったらなかったけど。 あいつのことを嬉しそうに、寂しそうに話すお前の顔は、 横顔よりずっと俺の心を動かした。
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