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「じゃあさ、涼はどんな子が好きなの?」
無邪気に俺の顔を覗き込み問い掛けてくる譲に、またギシギシと口角を上げる。
「んー、そうだなあ。…俺の笑顔が、」
こんな気持ち悪い仮面が、
「…嫌いって言う子かなー。」
「…嫌い?」
見抜いて欲しいんだよ。
こんなに必死で笑顔つくって、必死で気づかれないようにしてるくせに。
ほんとは、
笑顔の下の本当の顔に気づいて欲しいんだよ。
…譲。
「…なーんてねー。」
「え?嘘なの?」
「んー、嘘ではないけど。」
日が落ちててよかった。
俺今、絶対変な顔してる。
「あ、じゃあ俺こっちだから。また明日ねー。」
「あ、うん。またな。」
ちょうど分かれ道が来て、譲と別れる。
仮面がはがれる前に。
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