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「ゆずー!」
朝っぱらから胸クソ悪い声。
声の主なんて見なくたってわかる。
"ゆず"なんて呼ぶのはあいつしかいない。
「翔平。どうした?」
「英語の辞書貸して?俺のなくしたっぽい。」
「どうやったらあんなデカイものなくせるの?ほんと翔平らしいよなあ。」
そう言いながらも嬉しそうな譲の顔を、机に伏せたまま横目で見ていた。
「はい、辞書。」
「ありがと!ていうか、辞書見つかるまでまた借りに来てもいい?」
「いいよ。」
「よかった!マジゆず大好き!」
「はいはい、わかったわかった。」
「じゃあ俺、戻るな。あ、その前にマネージャーに聞くことあるんだった。」
「菊池さんならそこにいるよ。」
「あ、ほんとだ。ありがと!じゃあなー。」
そう言って譲から離れる翔平に心の中で悪態をつき、席から立ち上がる。
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